特定非営利活動法人 日本免疫学会

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日本免疫学会賞 第6回(平成15年)受賞者

「T細胞の分化・活性化を制御する抗原認識の分子基盤」


福井 宣規

(九州大学生体防御医学研究所)

<業績評価の内容と受賞理由>

福井氏の研究は、「TCRとMHC/ペプチド相互作用によるTリンパ球の選択」と、より最近に行われた「リンパ球特異的細胞骨格制御分子DOCK2の同定とその機能解析」の二つに大きく分けられる。前者の研究においては、遺伝子導入技術を用いて単一のMHC/自己抗原ペプチド複合体をさまざまなレベルでマウス個体に発現させることにより、T細胞分化の運命決定機構を解析できる非常にシンプルな実験系を構築し、同一のリガンドがT細胞の正の選択も負の選択も行い得ることを実験的に明らかにした。独創性の高い研究であり、世界中の免疫学者が持っていた関心事に実験的解答を提供したという点で高く評価される。後者の研究では、前者の研究過程で発見したC. elegans CED5の哺乳類ホモログであるDOCK2の欠損マウスを作製することにより、DOCK2がTCRやケモカイン受容体といったさまざまな受容体の下流で機能し、免疫シナプス形成やリンパ球ホーミング、及びこれらに起因する免疫組織の構築や機能維持において必須のシグナル分子であることを世界に先駆けて明らかにした。この研究は、ケモカインや接着分子の重要性に注目した従来からの「細胞外」接着・シグナルの研究から「細胞内」遊走の研究に免疫学者の目を向けさせたという意味で独創性に満ちた研究であり、今後のさらなる発展が期待される。