特定非営利活動法人 日本免疫学会

ENGLISH

HOME お問い合わせ サイトマップ

会員及び研究者向け
日本免疫学会賞 第7回(平成16年)受賞者

「イムノグロブリン様レセプターによる免疫制御機構と免疫疾患に関する研究」


高井 俊行

(東北大学加齢医学研究所)
<業績評価の内容と受賞理由>
高井俊行氏は、留学中のRockefeller大学Ravetch博士の下で研究したFcRの機能について解析を続け、FcRを介した正と負の調節がアレルギーや自己免疫疾患の制御を行っていることを明らかにしたが、とりわけ、帰国後独自の道を開き、抑制性FcRであるFcgRIIBがアレルギー・自己免疫疾患の発症を抑制し、末梢トレランスを維持する機能を有することを明らかにした。さらに、高井氏はFcR類似の新規レセプターPIRを発見するとともに、PIRのリガンドが自己MHCであることを同定し、T細胞・NK細胞に次いで第3の自己認識機構を持つことを明らかにし、免疫認識機構に新しい概念を確立した。PIRは活性化型(PIR-A)と抑制型(PIR-B)の存在するペア型レセプターであり、特に抑制型PIR-B欠損マウスは、樹状細胞の成熟不全によりTh2型応答が亢進する新しい形のアレルギーモデルとなること、また、その認識の不全ではGVHDを発症することから、PIRは恒常的に免疫機構を制御していることを明らかにした。FcR, PIRは高井氏が称したようにImmunoglobulin-like receptor(IgLR)と呼ばれるようになっている。以上,高井氏の研究はオリジナリティーの極めて高い研究であり、免疫認識機構に新しい概念を確立したのみならず、免疫疾患の制御に関与している分子であるだけに、疾病克服への貢献も期待される。よって日本免疫学会賞にふさわしい業績であると考えられる。

「遺伝子改変による免疫系シグナルの機能解析」


竹田 潔

(九州大学生体防御医学研究所)
<業績評価の内容と受賞理由>
竹田氏は、主として遺伝子欠損マウスを作製することにより、サイトカインによる免疫系細胞へのシグナル伝達に関わる分子の生理的機能を解明すべく研究を展開し、多くの素晴らしい業績を挙げてきた。同氏が高い評価を得た研究の1つは、STATファミリーのうち、STAT6がIL-4を介したシグナルに不可欠であること、およびSTAT3がIL-6やIL-10による抑制活性に関与することを明らかにした点にある。もう1つの特記すべき研究成果は、IL-1ファミリー分子のシグナル伝達におけるMyD88の機能解析にある。この一連の研究では、MyD88欠損マウスでIL-1やIL-18への反応に不可欠であることを示したのに加え、IL-1受容体と同じTIRドメインをもつTLRファミリーのシグナル伝達の研究に展開させ、国際的に注目を浴びるTLRファミリーの生理機能に関する成果を次々に発表している。また、IL-1ファミリーのシグナルに関連する研究として、IkB複合体でサブユニットであるIKKaの遺伝子欠損マウスを作製し、IKKaはIL-1等のサイトカイン依存性のNF-kB活性化に必ずしも不可欠ではないことを明確に示し、高く評価された。さらに最近では、竹田氏はTLRの研究を発展させて、STAT3との関連で慢性腸炎の発症機序の解明にも挑戦し、成果と挙げている。これらの竹田氏の研究背景と業績は、まさに次世代の日本の免疫学を担う研究者に授与される免疫学会賞にふさわしいと思われる。