特定非営利活動法人 日本免疫学会

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日本免疫学会賞 第11回(平成20年)受賞者

「原発性免疫不全症の病因・病態の解明」


峯岸 克行(みねぎし よしゆき)

(東京医科歯科大学大学院)

<業績評価の内容と受賞理由>

峯岸克行氏は、ヒト疾患から免疫制御のメカニズムを解き明かすべく、これまで一貫して先天性免疫不全症の原因と病態の解明に取り組んできた。無ガンマグロブリン血症が免疫グログリンIgH 遺伝子の変異によって生ずることを早くから発見し、その後も、B細胞の分化・活性化に関与するl5, Ig-a, BLNK が免疫不全症の新規原因遺伝子群であることを次々と同定した。これらの解析により、90%以上のヒト無ガンマグロブリン血症の原因遺伝子を明らかにしただけでなく、病態解析を通じてヒトB細胞分化におけるプレB細胞受容体の役割をも明らかにした。さらに最近、原因遺伝子の全く不明であった高IgE症候群の免疫不全症患者の免疫能を詳しく解析し、サイトカインのシグナル伝達の異常を発見し、その原因遺伝子として、Tyk2, STAT3を同定した。特にSTAT3の解析では、優位抑制的な活性を持つ片側アリルの突然変異が疾患を誘導することを明らかにし、連鎖解析による遺伝的解析では原因遺伝子の同定に至らない他の遺伝性疾患の原因解明にも大きな可能性を示した。これらの研究は、ヒトの疾患解析を通して、ヒトの免疫系を細胞、遺伝子のレベルで解析したもので、国際的にも非常に高い評価を受けている。臨床的にも疾患の早期診断と早期治療に大きく貢献する業績であり、今後のヒト免疫と疾病の制御に向けた更なる発展が期待される。