特定非営利活動法人 日本免疫学会

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日本免疫学会賞 第13回(平成22年)受賞者

「造血幹細胞からT前駆細胞にいたる系列決定過程に関する研究」


河本 宏(かわもと ひろし)

(理化学研究所・RCAI 免疫発生研究チーム)
<研究評価の内容と受賞理由>
河本宏氏は、造血幹細胞からT細胞へ至る分化過程に関する研究に取り組み、T細胞分化の系列決定に関する重要な業績を挙げた。河本氏は、まず独自のアッセイ系を開発することで、胎生期の造血前駆細胞集団にはT細胞分化能とミエロイド系分化能を保持した前駆細胞やB細胞分化能とミエロイド系分化能を保持した前駆細胞は検出されるが、T細胞分化能とB細胞分化のみを保持した細胞は検出されないことを発見した。この実験事実は、それまで信じられていた古典的モデルでは説明できないことから、これまでの常識を塗りかえる「ミエロイド基本形モデル」を提唱した。このモデルに対しては強い反発があり、すぐには受け入れられなかったが、河本氏はその後も様々な解析手法を動員し、このモデルが成体期造血においても成り立つことを証明し、ミエロイド基本形モデルが普遍性を持つことを示した。その間には、胸腺に移住する細胞がT細胞前駆細胞であることを示し、その細胞の表面抗原の特徴などを明らかにした。さらに最近では、T細胞分化能とミエロイド系分化能を保持した前駆細胞がミエロイド系分化能を失ってT細胞への系列決定が起こる際に機能する必須の転写因子の同定にも成功している。多くの競争相手のいる分野で、定説を覆す研究を長年にわたって続けてきた独創性は際立っており、今後も一層の研究の発展が期待される。