特定非営利活動法人 日本免疫学会

ENGLISH

HOME お問い合わせ サイトマップ

会員及び研究者向け
日本免疫学会ヒト免疫研究賞 第3回(平成28年)受賞者

「サイトカイン・ケモカインの基礎研究を通した免疫難病治療への貢献」


松島 綱治 氏

(東京大学大学院医学系研究科 分子予防医学教室)
<研究評価の内容と受賞理由>
 松島綱治博士は、1980年代初頭、ヒトIL 1β活性体のN-末端を明らかにするとともにそのヒト産生細胞株を同定し、その後のIL 1βconverting enzyme(ICE/Caspase 1)遺伝子クローンング, 自己炎症症候群発見の基盤を作った。同氏は、1987年にケモカインの最初の分子であるIL 8(CXCL8)、1989年にはMCAF/MCP-1(CCL2)を発見するとともに、ケモカインが炎症・免疫反応時の白血球浸潤を特異的に制御することを明らかにし、ケモカインの生物学を大きく発展させた。さらに同氏は、ヒトケモカイン受容体に対する抗体を作製し、ケモカイン受容体CCR4がアレルギーに関連するTh2のみならずヒト成人T細胞白血病リンパ腫(ATLL)に選択的に発現することを見いだした。ADCC活性を付加したヒト型抗CCR4抗体(モガムリズマブ)は、2012年に日本でATLLに対する治療薬として承認され、がん領域での我が国初の抗体医薬となっている。現在、欧米においてT細胞白血病治療薬としてだけでなく、担がん時の免疫抑制細胞もCCR4陽性であることから、がん免疫抑制解除薬としての様々な免疫チェックポイント抗体との併用の治験も国内外で進行中である。
 このように、松島博士は、ケモカイン研究の先駆者として顕著な業績を挙げるとともに、それを基盤とした免疫難病治療に大きな貢献をしてきた。これらの理由から同博士を第三回日本免疫学会ヒト免疫研究賞受賞者とした。