特定非営利活動法人 日本免疫学会

ENGLISH

HOME お問い合わせ サイトマップ

会員及び研究者向け
日本免疫学会賞等

日本免疫学会研究奨励賞 歴代受賞者

第1回(平成18年)

小笠原 康悦
(国立国際医療センター研究所 難治性疾患研究部 臨床免疫研究室)
「NK細胞認識機構の研究」
<内容と受賞理由>
小笠原康悦氏は、一貫してNK細胞の研究を続けてきた。最初に、NK細胞の分化に転写因子IRF-1が必須であることを明らかにした(Nature, 1998)。その後、NK細胞の標的細胞認識機構の研究に取り組み、NK活性化レセプターであるNKG2Dが、NK細胞の機能発現に関わる主要分子であること(Immunity, 2003)、NKG2Dとそのリガンドとの相互作用が自己免疫性糖尿病の発症にきわめて重要であること、特に通常では発現されないNKG2Dリガンドが糖尿病発症直前のNODマウスの膵臓に異常発現されること(Immunity, 2004)、さらに、抗NKG2D抗体の投与で完全に糖尿病発症を抑制できること(Nat. Med., 2004)を明らかにした。これらの一連の研究は糖尿病の病態解明とその制御法への道を開く優れた業績で、高く評価されており、今後の発展が大いに期待できる。
椛島 健治
(産業医科大学 皮膚科学)
「脂質メディエーターのアレルギー・免疫における新規役割の解明とその臨床応用への試み」
<内容と受賞理由>
椛島健治氏は、プロスタノイドのアレルギー、免疫における役割を解析した。特にトロンボキサンがT細胞の増殖・活性化を抑制し、アトピー性皮膚炎などの炎症を抑制することや、PGE2がランゲルハンス細胞を活性化し、遅延型過敏反応の形成に関与することなどを明らかにした。また、B細胞由来のリンフォトキシンが樹状細胞の増殖を促すことを見出している。これらの研究は、Nat. Immunol., Nat. Med., Immunityなど、数多くの一流国際誌に発表されており、今後の発展が大いに期待できる。
本田 賢也
(東京大学 大学院医学系研究科 免疫学講座)
「IRF転写因子活性化の時空間制御」
<内容と受賞理由>
本田賢也氏は、TLRシグナルに関して、MyD88をはじめとするアダプター分子群が如何なる制御機序を用いてIRF転写因子群を活性化するかに関する研究で画期的な成果を挙げてきた。特に本田氏は、GFP等蛍光蛋白質、及び蛋白質・蛋白質の相互作用をFRETによって観察するという研究手法を導入し、アダプター分子・転写因子の相互作用の時空間的制御機構を明らかにし、免疫学研究に新しい視点を導入した。これらの研究は、国際的評価も非常に高く、Nature, Proc. Natl. Acad. Sci, USAなどの一流誌に発表されており、今後の発展が大いに期待できる。
安友 康二
(徳島大学 大学院ヘルスバイオサイエンス研究部 生体防御医学分野)
「Tリンパ球の分化・活性化調節機構とその破綻機序に関する研究」
<内容と受賞理由>
安友康二氏は、T細胞が外来抗原と自己抗原を識別する分子機構の解明と、その制御破綻による自己免疫疾患の発症に関した研究を一貫して行い、優れた研究成果をあげてきた。胸腺内T細胞セレクションにおいてTCRからの刺激の長短が、CD4T細胞、CD8T細胞の運命決定を行うことを明らかにした(Nature, 2000)。その後、DNaseIの遺伝子変異による全身性エリテマトーデス(SLE)の発症機序の解析から自己抗原の蓄積が自己免疫疾患の発症をもたらすという概念を実証した(Nat. Genet., 2001)。自身の基礎研究の成果から寄生虫感染症や免疫難病の発症機序の解明をめざし、その克服を指向した安友氏の研究は、今後の発展が大いに期待できる。
山下 政克
(千葉大学 大学院医学研究院 免疫発生学)
「クロマチン構造変換によるTh2細胞の分化と機能維持機構」
<内容と受賞理由>
山下政克氏は、アレルギー疾患発症の分子機構をTh2細胞の分化機構を中心として研究してきた。そしてこれまでに、Th2細胞分化におけるT細胞抗原受容体シグナルとサイトカイン受容体シグナルとのクロストーク、転写因子GATA3によるTh2サイトカイン遺伝子座のクロマチンリモデリングの誘導と維持機構などを明らかした。さらに最近は、Th2細胞がメモリー細胞として機能分化しかつ維持されるのにトライソラックス遺伝子群のひとつであるMLLが関与することを明らかにしており(Immunity, 2006)、今後の発展が大いに期待できる。



(五十音順)