特定非営利活動法人 日本免疫学会

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日本免疫学会賞等

2015年 日本免疫学会 第10回研究奨励賞 受賞理由 (五十音順)

第10回(平成27年)

後藤 義幸氏
(東京大学医科学研究所 国際粘膜ワクチン開発研究センター)
「腸内細菌および3型自然リンパ球による腸管恒常性制御機構の解明」
<研究評価の内容と受賞理由>
後藤義幸氏は、これまでに腸内細菌と3型自然リンパ球(ILC3)による腸管恒常性の制御機構について研究を遂行し、この分野で優れた成績を収めている。まず、ILC3上に発現したMHCII分子がセグメント細菌非依存的な腸管Th17細胞の分化を負に制御していることを明らかにした。またILC3から産生されるIL-22は、腸管上皮細胞の糖鎖修飾(α1,2-フコース付加)を制御し、腸内細菌の恒常性維持とともに病原性細菌の感染防御に寄与することを見出している。この発見は、腸内細菌に対する「共生」と病原性細菌に対する「排除」を司る上皮糖鎖修飾制御を介した新たな免疫システムの存在を提唱するものであり、腸管免疫システムを理解する上で重要な成果である。現在は免疫細胞による腸管上皮細胞のα1,2-フコース発現制御の詳細とともに腸疾患に対する応用研究を進めており、将来の研究の発展が大いに期待できる。
小松 紀子氏
(東京大学大学院医学系研究科 免疫学)
「Foxp3+T細胞の分化可塑性と自己免疫性関節炎における重要性の解明」
<研究評価の内容と受賞理由由>
小松紀子氏は、これまで精力的にFoxp3+制御性T細胞の分化可塑性に関する研究に取り組み、優れた業績を上げてきた。制御性T細胞がFoxp3の発現を失うと抑制機能をなくすだけでなく、自己反応性のエフェクターT細胞に分化することを実験的に証明している。Foxp3+T細胞には安定なCD25hiサブセットと不安定なCD25loサブセットが存在し、CD25loサブセットのみが分化可塑性をもつこと、さらに、CD25loFoxp3+T細胞がTh17細胞に分化し、関節炎の病態の増悪化をもたらすことをあきらにした。これらの成果は、Foxp3+T細胞の分化可塑性と病態との関連をあきらにしたもので、今後の発展が大いに期待できる。
高田 健介氏
(徳島大学 疾患プロテオゲノム研究センター)
「胸腺プロテアソームを介したCD8+T細胞の正の選択に関する研究」
<研究評価の内容と受賞理由>
高田健介氏は、胸腺におけるT細胞の正の選択過程の免疫学的意義の解明に取り組んで来た。胸腺におけるCD8+T細胞の正の選択過程において、胸腺皮質上皮細胞でのみ発現するβ5tサブユニットを含んだ胸腺プロテアソームでつくり出されたペプチドが必須である事が知られていたが、その意義は不明であった。高田氏は胸腺プロテアソーム存在下で生成するペプチドの特性を明らかにし、さらに胸腺プロテアソーム欠損下で選択されたT細胞は感染応答などの機能に異常が認められることから、皮質上皮細胞固有のペプチドに基づいた正の選択は、T細胞の抗原特異性だけでなく、抗原応答性をも規定することを明らかにした。これらは胸腺における正の選択の意義の一端を解明した優れた成果であり、免疫学の中心的課題に切り込む研究として、今後の研究の発展が大いに期待できる。
平原 潔氏
(千葉大学大学院医学研究院免疫発生学教室(H3))
「CD4 T細胞を介した免疫恒常性制御機構の解明」
<研究評価の内容と受賞理由>
平原潔氏は、アレルギー性気道炎症や自己免疫疾患などの免疫関連疾患におけるCD4陽性T細胞の役割についての研究を行ってきた。特に最近は、サイトカインシグナルの下流にあるSTATファミリー分子群がCD4陽性T細胞において非対称的機能を有すること、この分子群の機能的均衡の破綻が免疫能低下による難治性慢性真菌症発症に深く関与することを見出だしており、国際的にも高く評価されている。これらの平原氏の業績は、免疫恒常性が破綻した各種免疫関連疾患の病態理解に大きく貢献するものであり、今後の発展が大いに期待できる。