特定非営利活動法人 日本免疫学会

ENGLISH

HOME お問い合わせ サイトマップ

会員及び研究者向け
日本免疫学会賞等

2016年 日本免疫学会 第11回研究奨励賞 受賞理由 (五十音順)

第11回(平成28年)

新 幸二 氏
(慶応義塾大学医学部 微生物学免疫学教室)
「腸管T細胞の分化・活性化を促進する腸内細菌の同定」
<研究評価の内容と受賞理由>
新幸二氏は、特定の腸内細菌を定着させるノトバイオート技術により、特定の腸内細菌がT細胞分化を誘導することを発見した。まず、腸内細菌の一種セグメント細菌がマウス小腸でTh17細胞を誘導することを発見した。さらに、Th17細胞の分化誘導メカニズムとして、腸内細菌が腸管上皮細胞に強く接着することにより血清アミロイドAの誘導を介し、樹状細胞を活性化させることが重要であることを明らかにした。続いて、マウス大腸の制御性T細胞の誘導を司る腸内細菌としてクロストリジウム細菌を同定した。さらに、ヒトの腸内細菌の中から大腸の制御性T細胞の誘導を司るクロストリジウム細菌群も同定した。これらの一連の研究成果は、腸内細菌が獲得免疫系の活性化に必須であることを証明した画期的な成果であり、今後腸内細菌の乱れが関与する疾患への応用研究が大いに期待される。
飯島 則文 氏
(医薬基盤・健康・栄養研究所)
「性感染症を引き起こすウイルスに対する末梢組織生体防御機構の解明」
<研究評価の内容と受賞理由由>
飯島則文氏は、これまでにウイルス感染に対する粘膜面における免疫反応の研究に取り組んできており、多くの重要な知見を報告してきた。例えばヘルペスウイルス感染後に粘膜免疫組織中にメモリーCD4T細胞を中心とするクラスターが形成され抗ウイルス機能を維持していることを明らかにした。さらに最近ヘルペスウイルスの神経組織感染に対して特異的抗体の到達にメモリーCD4T細胞が必要であることを解明し、粘膜-神経組織間の生体防御ネットワークの重要性を示した。これらの一連の研究は粘膜免疫の基礎的な理解に貢献するだけでなく、ワクチン開発などの応用にも結びつくものであり、今後大きな発展が期待できる。
遠藤 裕介 氏
(千葉大学大学院医学研究院 免疫発生学教室)
「脂肪酸代謝経路のヘルパーT細胞分化における役割と肥満病態における重要性の解明」
<研究評価の内容と受賞理由>
遠藤裕介氏は、これまでにアレルギー性気道炎症を誘導する病原性記憶Th2細胞の発見、IL-33による病原性記憶Th2細胞の分化誘導機構の解明など、記憶Th細胞中の病原性を有する集団によるアレルギー疾患の病態慢性化機構に関する一連の研究をリードしてきた。さらに、T細胞分化における細胞内代謝の役割の解明などの新しい研究領域に果敢に挑戦し、肥満環境において脂肪酸代謝酵素ACC1が制御するTh17細胞分化機構を明らかにした。これらの研究は、ヘルパーT細胞による炎症病態の制御機構の研究における新しい概念にいたる優れた成果であり、今後の発展が大いに期待できる。
岡本 一男 氏
(東京大学大学院医学系研究科 骨免疫学寄附講座)
「IL-17産生T細胞の分化と自己免疫疾患・骨疾患における機能の解明」
<研究評価の内容と受賞理由>
岡本一男氏は、Th17細胞及びγδT細胞等のIL-17産生細胞の分化・機能制御に関する研究に精力的に取り組み、優れた研究成果をあげてきた。特にTh17細胞の分化過程において転写制御因子IκBζがIL-17発現に重要であることや、自己免疫性関節炎におけるTh17細胞の骨破壊誘導機序、多発性硬化症におけるTh17細胞の中枢神経系炎症の誘導機序を、疾患モデルマウスを用いて明らかにしてきた。また骨折治癒において、IL-17産生性γδT細胞が損傷部位の間葉系前駆細胞に作用して骨再生を促すことを明らかにし、炎症と組織再生を結ぶγδT細胞の新たな生理機能を見出すことに成功している。現在、自己免疫疾患に限らない多様な疾患における免疫と骨の相互作用に関して研究を進めており、今後の研究の発展がおおいに期待できる。
茂呂 和世 氏
(理化学研究所・IMS 自然免疫システム研究チーム)
「ナチュラルヘルパー細胞の発見と機能解析」
<研究評価の内容と受賞理由>
茂呂和世氏は、T細胞、B細胞、NK細胞、NKT細胞、LTi細胞とは異なる新規リンパ球を発見し、ナチュラルヘルパー(NH)細胞と命名し、その表現型、遺伝子発現、サイトカイン反応性、サイトカイン産生能、シグナル伝達経路、個体レベルでの恒常性維持と寄生虫感染における役割を明らかにした。この発見は国際的に非常に注目され、自然リンパ球(Innate lymphoid cell; ILC)という新しい分野の確立に大きな貢献をした。これらの研究はNature, Nat. Immunol., などの一流誌に発表されており、今後の発展が大いに期待できる。