特定非営利活動法人 日本免疫学会

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日本免疫学会賞等

2017年 日本免疫学会 第12回研究奨励賞 受賞理由 (五十音順)

第12回(平成29年)

市山 健司 氏
(大阪大学免疫学フロンティア研究センター 実験免疫学)
「IL-17産生ヘルパーT細胞の分化を制御する新規因子の同定およびその機能解明」
<研究評価の内容と受賞理由>
市山健司氏は、これまでIL-17産生ヘルパーT細胞(Th17)の分化制御機構に焦点を当て研究を遂行し、優れた研究業績を挙げている。特にTGF-βによるTh17の分化誘導においてJNK-cJun経路を介した転写因子Eomesの発現抑制が重要であること、さらにJNK阻害剤をマウスに投与することでTh17が減少し、実験的自己免疫性脳脊髄炎の病態が改善されることを明らかにした。また、エピジェネティック制御機構の一つであるmicroRNAに注目し、Th17特異的に発現するmicroRNAとしてmiR-183クラスターを同定した。そしてmiR-183クラスターが転写因子Foxo1の発現抑制を介してTh17分化を促進することを見出した。これら一連の研究成果はTh17分化の新たな制御機構を提示するだけでなく、自己免疫疾患に対する新規治療法開発への応用に繋がる重要なものであり、今後の発展が大いに期待できる。
笹井 美和 氏
(大阪大学微生物病研究所 感染病態学分野)
「細胞内小胞輸送を介した病原体排除機構に関する研究」
<研究評価の内容と受賞理由由>
笹井美和氏は、これまで自然免疫系のシグナル伝達機構や病原体感染に対する生体防御機構の活性化について数多くの研究業績をあげてきた。特に、TLRのアダプター分子を解明してきた業績やTLRの細胞内局在によって自然免疫応答が制御されるという新しい概念を提唱した業績がある。さらに、最近は、細胞内病原体感染に対する感染防御機構に細胞内小胞輸送が非常に重要な役割を担っていることを解明した。これらの研究成果は、Science誌やNature Immunology誌等の一流誌に筆頭著者として発表されており、今後大きな発展が期待できる。
佐藤 尚子 氏
(理化学研究所・IMS 粘膜システム研究グループ)
「3型自然リンパ球の発見および病原性/共生細菌とILCサブセットの相互機能解析」
<研究評価の内容と受賞理由>
佐藤尚子氏は、最近その存在が新規免疫細胞群として大きく注目される自然リンパ球(Innate lymphoid cells:ILCs)研究の世界的先駆けとして、ILC3を同定、報告した。佐藤氏はその後もILC3の機能や分化の研究を継続し複数の論文報告を行っており、その業績が評価されスタッフ研究員(Assistant Professor相当)のポジションを得ている。その後、帰国と共に理化学研究所定年制研究員に採用され、胃に存在する胃ILC2が胃の細菌叢と深く関連することを新たに発見している。このように佐藤氏は一貫してILCsの研究を展開しており、これらの研究は免疫学における新たな概念に繋がる優れた成果であり、今後の発展が大いに期待される。
鍋倉 宰 氏
(筑波大学 生命領域学際研究センター)
「記憶ナチュラルキラー細胞分化の分子機構の解析」
<研究評価の内容と受賞理由>
鍋倉 宰氏は、NK細胞が記憶細胞に分化する分子機構について卓越した研究成果を挙げた。まず、ウィルス感染後に増殖し記憶NK細胞となる際にIL-33が必要であること、活性化受容体DNAM-1がウィルス特異的NK細胞の増殖と記憶NK細胞への分化を促進すること、また、同種MHC反応性の活性化受容体Ly49Dを発現するNK細胞がアロ抗原刺激で記憶NK細胞に分化することを発見した。さらに、自己MHCを認識するLy49Dを発現するNK細胞が優先的に記憶NK細胞に分化することを発見し、自己MHC認識受容体の意義を初めて明らかにした。これらの一連の優れた研究成果は、記憶NK細胞を基盤とした新規のワクチン開発など、ウィルス感染に対する治療等への応用が大いに期待される。
平安 恒幸 氏
(大阪大学免疫学フロンティア研究センター 免疫化学研究室)
「多様化レセプター群LILRおよびKIRと病原体との相互作用に関する研究」
<研究評価の内容と受賞理由>
平安恒幸氏は、免疫レセプターLILR及びKIRに着目し、これらのレセプターと病原微生物との相互作用に関する研究を進めてきた。その結果、これまで機能が同定されていなかったLILRA2, LILRA5が、病原微生物が生体に侵入するときのレセプターとして働いていることを見出してきた。又、最近では、マラリア原虫と抑制レセプターとの相互作用が、マラリア感染に重要な役割を担っていることを見出してきている。これらの研究はNat. Microbiologyなどの一流誌に発表されており、今後の発展がおおいに期待できる。