特定非営利活動法人 日本免疫学会

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日本免疫学会賞等

日本免疫学会研究奨励賞 歴代受賞者

第5回(平成22年)

大洞 将嗣
(東京医科歯科大学「歯と骨のグローバルCOE」)
「抗原受容体刺激によるPLC-γ下流シグナルの活性化機構:Ras-MAPKとストア作動性カルシウム流入」
<内容と受賞理由>
大洞将嗣氏は、一貫してリンパ球の細胞内シグナル伝達の研究に取り組み優れた研究成果をあげてきている。特に、PLC-gが活性化されると細胞内2nd messengerとしてジアシルグリセロール(DAG)とイノシトール3リン酸(IP3)が生成されるが,DAGは、RasGRPを介してRas-MAPキナーゼの活性化に、一方IP3は、Stim/Oraiを介してカルシウム流入に関与していることを、遺伝学的・生化学的研究手法を用いて、始めて明らかにした。その業績は現在、カルシウムシグナルとTリンパ球の分化・活性化、ひいては、自己免疫疾患との関連を精力的におこなっており、今後の研究の発展がおおいに期待できる。
常世田 好司
(千葉大学大学院医学研究院 免疫発生)
「生体内における免疫記憶の維持メカニズムの解明」
<内容と受賞理由>
常世田好司氏は、一貫して免疫記憶の維持機構に関する研究に従事し、優れた研究成果をあげている。まず、記憶B細胞(形質細胞)が造血幹細胞と同様に骨髄の微小環境(ニッシェ)によっていることを明らかにし、さらにこれまでの常識を覆し、記憶ヘルパーT細胞も骨髄内のニッシェに定着し続けること、IL-7産生ストローマ細胞がニッシェとして機能することを明らかにした。現在、この免疫記憶維持と自己免疫・アレルギー疾患の慢性化との関連を含めて研究を進めており、今後の研究の発展が大いに期待できる。
新田 剛
(徳島大学 疾患ゲノム研究センター 遺伝子実験施設)
「胸腺微小環境におけるT細胞レパトア形成のメカニズム」
<内容と受賞理由>
新田剛氏は一貫して胸腺におけるT細胞分化制御の分子基盤に関する研究を行ってきた。これまでに、正の選択を受けた胸腺細胞が産生するRANKLと髄質上皮細胞のRANK、さらにCD40-CD40Lや抗原特異的な細胞間相互作用が髄質上皮細胞の形成に重要で、一方、CCR7を介する胸腺細胞の髄質への移動が、負の選択に必須であることを明らかにした。また、皮質上皮細胞に関しては、その胸腺プロテアソームがMHC class I結合性の自己ペプチドを産生することで、非自己抗原に反応性をもつCD8 T細胞のレパトア形成を制御することを示し、本領域の理解に多いに貢献した。新田氏は胸腺ナース細胞の研究にも着手しており、今後の研究の発展が多いに期待出来る。
野地 智法
(The University of North Carolina)
「粘膜免疫学を基盤とした、次世代粘膜ワクチン開発」
<内容と受賞理由>
野地智法氏は、一貫して粘膜免疫学を基盤とした粘膜ワクチン開発に関する研究に取り組み、これまでに「M細胞標的型ワクチン」や「コメ型ワクチン」といった、今後の経口ワクチン開発に新しい方向性とその実現化に向けて、大きく飛躍させる基盤的研究成果を挙げてきた。また、最近開発したカチオン化ナノ粒子は、効果的かつ安全に上気道粘膜免疫システムを活性化させることが可能な、経鼻ワクチンとしての新規抗原デリバリー技術であり、上記経口ワクチンと共に、今後の臨床応用に向けた研究が非常に期待されている。
長谷 耕二
(理化学研究所・RCAI 免疫系構築研究チーム)
「粘膜表面の免疫監視に果たすM細胞の役割の解明」
<内容と受賞理由>
長谷耕二氏は、腸管免疫系において、腸内での抗原取り込みに重要であるが分子的解析は殆どなかった腸管上皮M細胞の単離法を開発し、特異的分子の同定に成功した。その結果、大腸菌やサルモネラ菌などの細菌の取り込み受容体GP2や、細胞間を結ぶ膜ナノチューブの形成因子であるM-SecなどのM細胞特異的分子を世界に先駆けて同定し、その機能を明らかにした。これらの発見は、腸管免疫研究の飛躍的発展の礎として世界的に高く評価されており、今後の発展が大いに期待される。



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