特定非営利活動法人 日本免疫学会

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日本免疫学会賞等

日本免疫学会研究奨励賞 歴代受賞者

第7回(平成24年)

浅野 謙一
(東京薬科大学生命科学部 免疫制御学研究室)
「マクロファージによる死細胞貪食の免疫学的意義、およびその臨床応用」
<内容と受賞理由>
浅野謙一氏はこれまで、食細胞による死細胞貪食の分子メカニズムとその免疫学的意義の研究に従事し、優れた研究成果を挙げてきた。大学院在学中は生体内での死細胞除去の異常により自己抗体産生が誘導されることを見いだし、死細胞貪食が自己免疫寛容の維持に関与していることを示した。さらに脾臓の辺縁帯やリンパ節洞に局在するCD169陽性マクロファージが、死細胞貪食に伴う免疫制御に重要な役割を担っていることを明らかにした。最近では、このマクロファージサブセットが、がん死細胞が惹起するがん抗原特異的な免疫の活性化に深く関与していることを世界で初めて明らかにしている。この発見は、より効果的ながん免疫療法の開発につながる成果であり、今後、基礎および臨床の両面でのさらなる研究成果の創出が期待できる。
伊勢 渉
(大阪大学免疫学フロンティア研究センター 分化制御研究室)
「抗体産生応答を制御する転写因子の機能解析」
<内容と受賞理由>
伊勢渉氏は、抗体産生応答を制御する転写因子の機能解析に取り組み、極めて優れた研究成果をあげてきた。特にAP-1ファミリー転写因子BATFが濾胞性ヘルパーT細胞の分化に必須であること、さらにBATFがB細胞のクラススイッチにも必須であることを見出し、この転写因子の生体内抗体産生応答における重要性を初めて明らかにした。現在、これらの研究を発展的に継続すると同時に、体液性記憶免疫応答の発生・維持・活性化の転写因子による制御について精力的に研究を展開しており、今後の研究の発展がおおいに期待できる。
齊藤 達哉
(大阪大学免疫学フロンティア研究センター 自然免疫学)
「パターン認識受容体を介した自然免疫応答における活性酸素種の役割に関する解析」
<内容と受賞理由>
齊藤達哉氏は、蛋白質分解機構による免疫制御に関する研究に長く携わっており、とりわけ近年は、異物刺激が惹起する危険シグナルである活性酸素種と蛋白質分解機構との連関がパターン認識受容体の情報伝達制御において果たす役割に着目した研究を行っている。活性酸素種を介したTLR4依存的な炎症応答をオートファジーが抑制するメカニズムの解明や、好中球エラスターゼを介したTLR7/8依存的な感染防御応答を活性酸素種が誘導するメカニズムの解明は、活性酸素種と蛋白質分解機構との連関が自然免疫に深く関わることを示すものであり、今後の研究の発展が大いに期待できる。
七田 崇
(慶応義塾大学医学部 微生物学免疫学教室)
「脳梗塞後炎症における免疫応答の解明」
<内容と受賞理由>
七田崇氏は、脳卒中医療に関わった経験から脳内免疫機構に興味を持ち、大学院進学後に、脳内炎症の機能研究を開始した。七田氏は脳虚血後の急性炎症に、IL-17を生産する 型T細胞が関わることを見いだした。さらに、このような急性炎症とそれに引き続く神経障害が、T細胞浸潤の阻害剤であるFTY720で抑制することが可能であることを示し、新たな治療法の可能性を示した点で高く評価されている。さらに、脳虚血時に浸潤するマクロファージの活性化が壊死細胞から放出されるペルオキシレドキシンによって誘導されることを見いだし、ペルオキシレドキシンが新規の内因性炎症誘起因子であることを証明した。七田氏の進める研究は、炎症性疾患の発症機構の理解や新規治療法の開発に資するものであり、今後の発展が大いに期待される。
鈴木 一博
(大阪大学免疫学フロンティア研究センター 免疫応答ダイナミクス研究室)
「免疫セマフォリン分子の機能解析と多光子励起顕微鏡を用いた生体イメージングによる免疫応答の可視化」
<内容と受賞理由>
鈴木一博氏は、これまで免疫系におけるセマフォリン分子の研究に携わり、セマフォリン分子による炎症反応の誘導機構を明らかにした。さらに多光子励起顕微鏡を用いた免疫応答のイメージングにも取り組み、B細胞が抗原を獲得する瞬間を捉えるなど、優れた業績を挙げている。鈴木氏は現在、神経系と免疫系で機能するセマフォリン分子の研究から芽生えた神経系と免疫系の関連性への興味に基づいて、イメージング技術を活用して神経系による免疫応答制御の分子基盤の解明を推し進めており、今後の研究の発展が期待される。



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