特定非営利活動法人 日本免疫学会

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日本免疫学会賞等

2014年 日本免疫学会 第9回研究奨励賞 受賞理由 (五十音順)

第9回(平成26年)

尾松 芳樹氏
(京都大学再生医科学研究所 生体システム制御学分野)
「造血幹細胞・前駆細胞と免疫細胞を維持するニッチの機能と形成機構の解析」
<内容と受賞理由>
尾松博士は2010年に、骨髄で造 血幹細胞のホーミングと維持及び免疫担当細胞の産生に必須であるケモカイン CXCL12を高発現する細網細胞(CAR細胞)が脂肪o骨芽細胞前駆細胞であり、造血 幹細胞o前駆細胞のニッチとして必須の役割を担うことを証明した (Omatsu Y., et al., Immunity 2010)。これに続いて2014年に、CAR細胞とその 造血幹細胞o前駆細胞ニッチとしての機能の形成と維持に必須の転写因子として Foxclを世界に先駆けて報告した(Omatsu Y., et al., Nature 2014)。これらの成果は、長年不明であった骨髄の免疫担当細胞を産生するニッチの細胞系列を特定しその発生の分子機構を明らかにしたもので画期的な成果である。これらの研究は今後も免疫発生学 の発展に貢献することが大いに期待できることから日本免疫学会研究奨励賞に相応しいと判断された。
倉島 洋介氏
(東京大学医科学研究所 炎症免疫学分野)
「体表面バリアにおけるマスト細胞の機能調節因子の探索と疾患治療に向けた取り組み」
<内容と受賞理由>
倉島洋介氏は炎症性腸疾患における粘膜型マスト細胞の活性化因子の探索を試み、その活性化には細胞外アデノシン3リン酸(ATP)ならびにATP受容体の一つであるP2X7受容体が重要であることを明らかにし、その阻害活性を有するモノクローナル抗体の作製にも成功している。さらに、マスト細胞の組織特異性の獲得機序解明に関連して、組織内の線維芽細胞によるマスト細胞の制御機構が存在することを証明している。線維芽細胞がマスト細胞上のP2X7受容体を皮膚組織特異的に低下させ、マスト細胞の過剰な活性化を抑制していることを新たに示したことは、今後の皮膚での新規炎症予防・治療戦略に結びつくものであり、高く評価できる。
佐藤 荘氏
(大阪大学微生物病研究所 自然免疫学)
「疾患特異的M2マクロファージの生体内での役割と分化機構の解明」
<内容と受賞理由>
佐藤荘氏は、M2マクロファージの分化と生理的役割の解明をテーマとして研究を遂行し、この分野で優れた業績を挙げている。アレルギー応答に重要なM2マクロファージの分化にはJmjd3が必須であることを明らかにした。一方で、脂肪組織のような抹消組織のホメオスタシスを担う組織常在型M2マクロファージの分化にはTrib1が重要であることも解明した。現在これらの結果をもとにして、疾患特異的M2マクロファージの概念を提唱し、疾患に対応する各々のM2マクロファージの解析を精力的に展開しており、将来の研究の発展と臨床応用が大いに期待される。
西村 智氏
(自治医科大学分子病態治療研究センター 分子病態研究部)
「肥満脂肪組織における免疫細胞賦活化機構:生体分子イメージングによる解析」
<内容と受賞理由>
西村智氏は、生活習慣病において、生体内代謝臓器でおきる様様な免疫・炎症細胞の相互作用について、独自に開発した二光子顕微鏡を用いてアプローチしてきている。脂肪組織において肥満すると、CD8陽性T細胞の活性化、IL-10産生B細胞の機能減弱が生じることを明らかにし、脂肪組織恒常性維持とその破綻メカニズムに新しい視点を与えてきた。又、これらの知見はヒトにも適用可能であることをも示してきている。最近では、新たな非線形顕微鏡技術によるミクロレベルから、臨床マススケール解析によるマクロレベルまで組み合わせた研究を予定しており、今後の研究の発展がおおいに期待できる。
八木 良二氏
(千葉大学大学院医学研究院 免疫発生学教室(H3))
「転写因子GATA3によるヘルパーT細胞および自然リンパ球の分化制御機構の研究」
<内容と受賞理由>
八木良二氏は、これまでヘルパーT細胞の分化制御メカニズムに関する研究に携わり、優れた研究成果をあげてきた。特にTh2細胞のマスター転写因子であるGATA3がTh2細胞分化を誘導するだけでなく、Th1細胞分化を積極的に抑制していることや自然リンパ球の分化制御にGATA3が必須な因子であることを証明した。転写因子によるヘルパーT細胞の分化制御メカニズム解析に関する研究を精力的に行っており、今後の研究の発展が大いに期待される。