高校生物教育への取り組み

  • 高校生物の免疫についての質問コーナー

 免疫学領域の高校生物の教科の内容についての質問を受け付けています。当分の間は、高校の教員からの質問に限らせていただき、日本免疫学会の高校生物に関わる委員会がお答えいたします。ただし、大学入試に関連した質問および医療相談にはお答えしかねます。ご質問は、ご氏名、ご所属の高校名、担当されている学年と教科名、使用されている教科書出版社名を記載の上、メールで日本免疫学会事務局までお送りください。

 

  • 代表的なQ&A

<質問>

抗原とは何ですか?ウイルスや細菌も抗原になるのでしょうか?

 

<回答>

T細胞とB細胞は獲得免疫に属する細胞で、個々のT細胞、B細胞は特定の分子を認識した時に活性化し、免疫応答に関わります。このようなT細胞またはB細胞が認識する分子を抗原と言います。抗体はB細胞が産生するタンパク質で、標的の分子に結合して最終的にその分子を排除します。B細胞がある抗原を認識して活性化した際にB細胞はその抗原に結合する抗体を産生します。このため抗体が結合する分子も抗原です。

 

抗原には、タンパク質、糖脂質、多糖、核酸などの高分子や比較的低分子の代謝産物など種々の分子があり、これらの中にはT細胞とB細胞の両方が認識できる分子、B細胞しか認識できない分子、一部のT細胞しか認識できない分子があります。ウイルスや細菌に由来するタンパク質や糖脂質などの分子は抗原となりますが、ウイルスや細菌といった病原体そのものを抗原と呼ぶわけではありません。

 

マクロファージなどの自然免疫細胞も病原体の成分を認識して活性化します。自然免疫細胞が認識する分子は分子パターン、とりわけ病原体の分子パターンは病原体関連分子パターンと呼ばれ、抗原とは言いません。

 

 

<質問>

炎症とは何ですか?免疫反応との違いを教えてください。

 

<回答>

病原体などの侵入で免疫反応が起こると、局所のマクロファージなどの活性化により、周囲の毛細血管が拡張したり、毛細血管壁の細胞の接着が緩むことで、血漿成分が組織に移行します。また、好中球などの免疫細胞が組織に集まります。このような免疫細胞の集積と、それに伴う組織の変化を炎症と呼びます。組織の変化の結果、局所が赤く腫れたり、熱くなったり、痛みがおこることがあり、これらの症状は炎症の4主徴と呼ばれます。しかし、炎症には必ずしもこのような症状を伴うわけではありません。また、けがなどで組織の損傷が起こると異物の侵入がなくても自然免疫細胞が活性化し、同様の組織の変化が起こりますが、これも炎症です。つまり、免疫反応は各種免疫担当細胞が働いて体を防御する仕組みであり、炎症は免疫細胞が働くことで引き起こされる局所反応の一部といえます。例えば、病原体の感染に対して抗体産生を起こすためにリンパ節が腫れることは免疫反応ではありますが、炎症とは呼びません。また、産生された抗体が血液中を流れる毒素に結合して無力化することは免疫反応ではありますが、炎症とは呼びません。一方で、抗体が病原体感染の部位で病原体に結合して、食細胞による貪食を促進したら、そのような働きは炎症の一部とみなせます。

 

  • 著作権

 回答の著作権は日本免疫学会にあり、許可なく複製、転用、販売などの二次利用をすることを禁じます。引用されたい場合には日本免疫学会までご連絡ください。

 

  • 責任

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