理事長就任にあたり


 

 

 2021年1月1日より、前理事長、清野宏先生のあとを受けて日本免疫学会の理事長を拝命いたしました。同時に総務委員長は竹田潔先生から竹内理先生へ、財務委員長は高岡晃教先生から長谷耕二先生へ交代し、新たに総務副委員長には山崎晶先生、財務副委員長には岡田峰陽先生にご就任いただき、これから2年間にわたり、この5人が執行部として日本免疫学会の運営に携わらせていただきます。何とぞよろしくお願いいたします。

 

 昨年来、COVID-19によって世界中の人々の生活が大きな影響を受け、多くの方の尊い命が失われました。COVID-19によってお亡くなりになった方々、ならびにご家族の皆様、関係者の皆様に心よりお悔やみを申し上げます。また、現在闘病を余儀なくされている皆さまの一日も早い回復をお祈り申し上げます。そして、自らの危険を顧みずCOVID-19対策にご尽力頂いている医療関係者と、それを支えているご家族の皆様に心より感謝を申し上げます。

 

 COVID-19の影響は世界的中の研究の現場にも大きな影響を与えております。これまでの1年近い経験の中から、皆さまもCOVID-19から自分や家族の身を守る方法を色々学んできたと思います。感染症から身を守るのが免疫システムである以上、私たち免疫学者は感染症学者と手を取り合って、この未曾有の厳しい状況下ではあっても、日々研究活動を維持、推進し、社会が期待する研究成果を挙げることが期待されております。COVID-19は感染症であると同時に免疫病でもあります。特に重症化のメカニズムの解明には免疫システムの理解が不可欠です。私たち免疫学者にはCOVID-19の免疫学的側面を明らかにすると共に、ワクチンや治療薬開発に向けて一致団結して研究を進める使命が課されていると思います。幸いにしてワクチンの開発も一定の成果が得られ始めております。ワクチンに関する正しい情報を国民に届け、ワクチンの接種が速やかに進むように働きかけるのも私たち免疫学者の重要な使命です。私自身も最初の機会に接種します。

 

 昨年、日本免疫学会は創立50周年を迎えました。これまでに先人の努力によってそれぞれの時代に世界をリードする素晴らしい研究成果を発信し続けてきたことを誇りに思うと共に、日本免疫学会はこれからも世界をリードする研究成果を世に問うていかなければなりません。免疫システムは私たちの体の恒常性を司り、外界との接点として多様な微生物との共生や排除を司る重要な仕組みであり、免疫学は全ての生命現象や多様な疾患に関連する横断的な研究分野です。この点から、清野前理事長は日本免疫学会が様々な学会や研究領域と連携していくこと、そして世界各国の免疫学会、特にアジア・オセアニア地域との連携・協力を強固にし、ダイバーシティーに配慮した、多様性のある学会を築くことで、次世代を担うグローバルな研究者の育成を目指しました。私もこの路線を継承し、新執行部の皆さんと共に多様性と連帯感のある学会運営に努めたいと思います。2022年には第18回の国際免疫学会(IUIS2022)が南アフリカのケープタウンで行われます。現在、国際免疫学会の理事会には日本の代表は不在です。国際的な存在感を維持するためにもIUIS2022においては是非とも日本から理事会へ代表を送りたいと思います。

 

 2021年は日本免疫学会の次の50年の始まりの年です。COVID-19の影響はまだしばらく続くと予想されますが、皆さまと共に世界の免疫学を先導する日本免疫学会として引き続き研究に邁進していきたいと思います。また、次世代を担う若手の免疫研究者が世界を相手に夢を持って戦える環境作りも私たちの使命です。全ての世代が最先端の研究を進めるために、力を合わせて行きましょう。次の50年も輝き続ける日本免疫学会の土台を作るため、微力ではありますが、新執行部の先生方と共に誠心誠意努力して参ります。引き続き会員の皆さま方のご支援をどうぞよろしくお願いいたします。

  

特定非営利活動法人 日本免疫学会

理事長

小安 重夫